黒姫
この沈黙が終わる前に、さっさと日直の仕事を終わらせよう、そう思った瑞姫の考えは、あっさりと消えて藻屑と化した。
「黒瀬さん、お節介なら悪いけど、キツくないの?」
お節介とわかっているなら聞くな、と言いそうになった口は、取り敢えず閉じておく。
昨日透に、むやみやたらと敵を作るなと注意されたばかりだ。
「……何で? 別に平気だけど」
「いや別に……ただ気になっただけだよ」
何でそんなことを気にするのだろう。
瑞姫は薫との関わりなど持っていないし、恐らく互いに必要最低限以上の関係を持つことを望んではいない。
「でも黒瀬さん、一昨日から普段より機嫌悪いよね」
「私の普段ってどんなのを指してるの? あなたとそこまで関わりを持ったつもりはないんだけれど」
「何事にも興味を持ちたくなさそうな雰囲気。普段はね。今は、強制的に意識を向けさせられて、イラついている」