黒姫

答えの出ない自問自答を投げ捨てて、取り敢えず帰ろうと、立ち上がってその辺に放り出されていた鞄を手に取った。

立ち上がった途端、痛みが増したような気がして顔をしかめる。


(なんだこれ)


痛いのは、殴られた跡ではない。


(……なんだ、これ)


痛い。辛い。苦しい。

瑞姫には理由が解らなかった。

解らないけれど、ただ。


(みんなに会いたい……)


みんなに、“家族”に会いたいと、泣きたい程に強く思った。

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