たぶん恋、きっと愛



その沈黙に。


「…え?あたし、何しました、か?」

「何したって言うか…されたって言うか…」


見つめられた昌也も、口ごもる。


「……ウォッカをね、ほんの…“ひとくち”?」


ひきつった笑顔の昌也を尚も見つめ、目を丸くした雅は。
曖昧な記憶をたどった。


「ウォッカ……?」


皆が黙りこくり、気まずい空気が流れる。



「…水、飲む?」

やっと口を開いた鷹野を見上げ、ゆっくり凱司を見た雅に。
何故か慌てた昌也が、立ち上がった。


「たっ、ただの口移しだったから…大丈夫!」


視線を合わせないまま、ちっ、と舌打ちした凱司に、雅は小さく息を呑んだ。

凱司を見つめたまま、みるみる真っ赤に染まった雅は、勢い良く鷹野の胸に顔を埋め、ぎゅ、と。

シャツを握りしめた。



「…昌也くんて、ほんと馬鹿だよね」


首までも赤く染まった雅をしっかりと抱いたまま、鷹野は呆れたように、呟いた。



 
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