たぶん恋、きっと愛


「プラチナのスクリュー。動くとキラキラして綺麗だよ」

「はい、さっき鷹野さんに付いてた時は良く見えたのに」


軽く引っ張りながら雅は、なかなか視界に入らなくなったネックレスを指で探った。



「あげるよ」

「えっ」

「元々は女性用なんだ。前に、綺麗だから買ったんだけど、雅ちゃんにあげる」


「やっ…でも!」


至近距離の雅の頬が、ふわりと上気した。

戸惑った目は、受け取っていいものかどうか、迷っている。



「特別高いもんでもないし、思い入れも別にないから」

「でも…いくらでしたか?」


ずっと指で首筋を探りながら、雅は困ったように、でも少し嬉しそうな色を浮かべて、眉を下げた。



「大丈夫。2万行かない」

「充分高価じゃないですか!」


弾かれたように顔をあげた雅と、とても近くで目があった。


見覚えがある。
この目は、凱司に。

体以外で何も支払う物がない、と言った時の、目だ。



 


< 178 / 843 >

この作品をシェア

pagetop