たぶん恋、きっと愛



ごく薄く切った蓮と、小さく刻んだキノコを入れて、ガラスの蓋をする。



「……眠れない」


雅は、少し開けたカーテンから明るくなりはじめた空を見た。



昨夜、鷹野が付けて来た“匂い”が、一晩中内臓を締め付けていた気がする。


ともすれば、凱司にまとわりついていた事のある“匂い”も鼻先に漂っている気がして、眠れる気がしない、まま。



「…具合…悪……」




原因は解っていた。
ただ、納得はしたくない。

生々しい場面を目の当たりにしたような、衝撃。


知らない訳でもないのに、目眩がするほどショックを受けた。




「…嫉妬だったらどうしよう」


そんな苦悩が、朝の4時半現在、雅をキッチンに立たせていた。
 


< 399 / 843 >

この作品をシェア

pagetop