たぶん恋、きっと愛


「あ、雅、来てたんだ?なにしてるの?そろそろ中入ろ」


見知った同級生たちが、いつの間にか傍に来ていた。

雅は慌てて取り繕った笑顔を、見せて、立ち上がった。


楽しげに笑う同級生。

それなりに友情を築いた今ならば、泊めて欲しいと言えるかも知れない。


だけど。
できない。


自分が何かに蝕まれ、何かに犯されている気がして。



皆の笑顔が、眩しい時がある。屈託なく笑う同級生たちを、羨ましく思う時がある。



いや、そんなに気に病むような事はしていないはずだ。
たかだか。

たかだか、体が売れるだけ。


目の前の彼女たちだって、もしかしたら同じ事をしているかも知れない。

体を売ることなど、大したことじゃない。


必死に自分に言い聞かせようとしている事に気付き、雅は自嘲気味に、笑った。



 
< 45 / 843 >

この作品をシェア

pagetop