たぶん恋、きっと愛
なんとなく。
本当になんとなくなんだけど。
最初に腕を掴まれた時よりも。
いきなりキスされた時よりも。
髪を乾かしてくれた時よりも。
頭を撫でられている時よりも。
抱き留めてくれた、鷹野さんの体温に、『人』を感じた。
大丈夫、と囁かれて凱司さんと目が合って。
現実に生きてるんだ、と。
そう、思った。
スクリーンの中の登場人物は、生きていて。
あたしを認識している。
鷹野さんは。
大丈夫だ、と。
そう言ってくれる。
凱司さんの差し出してくれた手は。
寝食の為に断らなかった様々な手とは、違う気がする。
鷹野さんの体温は。
あたしの足を開かせるための様々な、‘段取り’として抱き締められる体温とは、違う気がする。
似ているけれど、違う、と。
そう思う。