たぶん恋、きっと愛
友典が、母の由紀と共に現れたのは。
緊張を解いた雅が、Tシャツとジャージ生地のハーフパンツに着替え、鷹野と一緒にストローに切り込みを入れている時だった。
面倒そうに鷹野の取ったインターホン越しに、由紀の声が聞こえた雅は、ハサミを置いて、画面を見つめる。
『雅さんに会わせて、頂けないでしょうか』
いつもの穏やかな口調が、僅かに堅く、懇願するようなものな事に、雅はびっくりして立ち上がった。
『大変な粗相を…致しました』
「…え?……なに…なんで」
途端に不安そうに揺らいだ雅をちらりと見やり、鷹野は。
今、降ります、とひとことだけ、吐き出すように呟いた。
「…ここにいて」
「でも…っ」
「気になるなら、5分したら、降りてきてもいいよ」
雅の髪を撫で、穏やかに笑む鷹野は、由紀さん出て来たんじゃあんまり下手なことできねぇなあ、と。
内心、舌打ちした。