たぶん恋、きっと愛
「雅」
「……」
もう、5日目だ。
あの夜に泣いて以来、雅は一度も泣いていない。
言いたいことも、吐き出したいこともあるだろうに、雅は真っ白に血の気を無くした顔を、果敢にも、上げたままだ。
後悔はあれど、謝るわけにはいかない。
抱かずとも、他に手段があった、などと、今更口に出せる訳がない。
決して無理にしたつもりは無いけれど、自分は大人で。
雅はいくら取り繕おうと、子供であるのだから。
丸め込み、誑かして捌け口にした、と言われても、否定できるものではない。
鷹野の熱は順調に引き、明日からは、出勤する。
いつも、カフェでアルバイトをしながら鷹野を待つ雅は、それでも鷹野の迎えを待つだろうか。
鷹野は、迎えに行くだろうか。
可哀想な事をした。
引き起こされたこの現状は、予想を僅かに上回って、凱司の頭を悩ませた。