切端詩集 断片的な虚構
水月の帝国



『水月の帝国』


圧倒的な湿度に喘ぐ水月は
植物だけがこの世界を支配している

翡翠と孔雀石のグラデーション
女王のように神々しい無数の街路樹が
毎秒を駆けて広がりながら
この文明とやらを殲滅する幻がよぎる

日々肌を凌すこの不快感の中で
この美しい生き物に絡め取られたい
前線を真上に指さし
僕は梅雨の晴れ間に目を細める











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