”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

「本当なら西園寺の屋敷の方が良かったんだけど、怪我でまだあまり歩けないって聞いたから。
 おまえのことだから、ホテルの食事じゃ進まないだろうけど」


返事をすることもなく、ただ涼の顔をみつめたまま、また違うことに思考が占められる。

フェリックスから病院のベッドで突然、政略結婚が決まったと告げられた。

相手は今は日本に住んでいるから、日本に行けと。

馬車馬のような働きでシステム化はほぼ終わっており、騒動のほとぼりが冷めるまでスペインを離れていた方がいいという判断もあった。

日本できっちりリハビリをするように言い渡されたが。

結婚式まで豪勢に東京の一等地にあるホテルで暮らしていいらしい。

それが知れたら、またリンチされるな。

皮肉ったら、結婚祝いだと言われた。

ポケットマネーから出す積りとは思えないから、意味がわからない。
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