”オモテの愛” そして ”ウラの愛”

「分が悪いよ、成介。」


獲物を見つけた猫のように笑う。


「そうですか?」


成介も微笑した。


「あなたの自信は完全ではない。
 特にあの男のあなたに対する気持ちの部分は。
 だから、つい今日のように、私に聞いてしまう。
 その弱さは、とても利用できるんです」


綺樹は立てた膝に肘をつき、頭を支えた。

斜めに成介をしばらく見上げて、弱く笑った。
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