天国と地獄の境界線がなくなる前に僕はもっとやるべきことがあったのかもしれない
 ウチの学校では毎年学年から一人だけ行けるという、推薦枠のある結構有名な大学がある。

 その推薦入試で、僕は滑った。

 その事実をなかなか受け入れることができなかった。

 これは何かの間違いであり、おそらくお詫びの手紙が後日、ウチに届くのだろうと、そう思った。なあに人間のやることさ。間違い。手違いというのはある。

 そう思うことで僕は心が真っ黒に濁りきる事を先延ばしにしたのだ。

 さりとて帰る道中の足取りは重く、まっすぐ帰る気にもなれず立ち飲み屋に、しょっちゅう立ち飲むのですよ僕はという顔をしながら暖簾をくぐったわけだ。
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