青空バスケ―another story―

校門に寄りかかりながら、人を探す。

まだ来ないな……。


チラホラと校門を抜けて帰っていく人達。


そんな人達をボーッと眺めながら待っていると………


「……ハル君?」


聞き慣れた声で名前を呼ばれた。

振り返ると、七海が目を丸くしながら立っていた。


「どうしたの?部活は?」

「ちょっと……ね」


俺がなくしたものを取り戻して、スランプが終わったら……

頑張るよ、また。

このスランプが直るまでは試合には出れないけど……。


「今日って、海里いる?」

「多分……」

「なら、ちょっと付き合って。
俺の練習」

「え?練習?」

「海里がいないとダメな練習」


分かったんだ。

監督が言ってたこと。


バスケを純粋に楽しむ心。


少し前まで俺が当たり前のように持ってたもの。


今の海里なら持ってる……大事なもの。


「一緒に帰ろう」


そう言って手を差し出すと……七海はにっこり笑って俺の手を握った――

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