In the warm rain【Brack☆Jack3】

【4】

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 イライラするのは、この湿気のせいだけではないのは、十分承知していた。

 かといって、自分が何故こんなにイラついているのか、その答えは大体見当はついていたが、それを認めたくなかった。

 押さえきれない気持ちはどこで発散すればいいのか。

 時間は昼過ぎ。

 ダウンタウンに道行く人は少なかった。

 ましてや、雨。


「いいタイミングだよね」


 ミサトは立ち止まり、にやりと笑った。

 手に持っていた傘を、地面に置く。


「遊んでほしいなら、はっきりと言えばいいのに」


 たった今歩いてきた道。

 振り返って、低く声をかける。
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