華-ハナ-
「華と最後に会ったのは、俺が17才の時のバレンタインだった」



川越さんは、その当時のことを思い出すように、遠い目をして話す。



「この間の店で、いつも通りに過ごしてたんだ」



この間の店……


川越さんの幼なじみのご両親が経営しているお店。


そこで二人は、隠れるようにして会っていた。



「あの部屋で華の仕事が終わるのを待っていて、終わったらいつも走ってやってくる華を……『走るな』と怒って、でもそのあとすぐに抱き締める。いつもと同じだった」



なんか、想像できる。


川越さんは、愛する人が来るのをまだかまだかと首を長くして待つ。


お母さんは、早く愛する人に会いたくて、心臓が悪いのに少しでも早く会いたくて、つい走ってしまう。


それを心配した川越さんが、お母さんを怒る。


そんな恋人同士の光景が、簡単に想像できちゃう。
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