ラピスラズリの恋人
腕の中に収まる柔らかな温もりに心が満たされながら、至極(シゴク)穏やかな朝を迎える。


瑠花(ルカ)がこの腕の中にいてくれるだけで、幸せに包まれる。


「ん……」


「起きた?」


「理人(リヒト)さん……?」


まだ寝ぼけ眼の瑠花が、俺の顔を見つめている。


「おはよう、瑠花」


その額にキスをして、自然と柔らかな笑みを浮かべていた。


自分の中にこんなにも深い愛があるなんて、知らなかった。


堪らなく愛おしくて、溢れ出す想いが止まらない。


そんな気持ちを知ったのは、まだあどけない少女だった瑠花を見た時から数年後の事だった――…。


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