ただひとつ。Side Story
路地を曲がってすぐが、加藤の家。
でも、
その角を曲がった瞬間に…
俺は足を止めた。
「…………。」
俺の目の前で……
加藤は笑っていた。
けれどその笑顔はおれじゃない他の男へと向けられている。
『…だってあいつ、前のオトコと切れてねーだろ。』
颯太の言葉が……
頭の中でこだました。
あれは……
藤倉…先輩?
「…なんだ……。俺、用なしじゃん。」
加藤は俺の存在に気づくこともなく……
こんこんと降り積もる雪の上に……
足跡だけ残して、
ゆっくりと…消えていった。