恋に恋して恋をする。
わたしの望みどおりだね
もしかして、森下って私のこと……


いや、いかんいかん。


すぐに期待して先走るのは私の悪い癖だわ。


雑念を振り払うように、温泉でジャバジャバと顔を洗う。


「ちょっとぉ!ちはる!こっちまでかかってるから」


つかさにそう言われてはっと我に帰る。


「ごめんごめん」


「もしかしてぇ~、森下くんのこと、考えてた?」


「えっ!?」


「今日なんかいいカンジだったもんね」


つかさはすぃーっと私の隣まで泳いで、ひそひそ話するみたいに耳打ちした。


「そ、そんなことないよ」


「えー!でも向こうはちはるのこと好きそうじゃん?」


や、やっぱそう思う?


「いや、ないない。あいつ誰とでも仲いいし。女子とも結構しゃべるし」


自分に言い聞かせてみる。


「え~…じゃあ嫌いなの?」


「別に、嫌いじゃないよ」


「じゃあさぁ、明後日の自由行動、亮平たちの班と一緒に回ろうよぉ」


「それはつかさが亮平くんと回りたいんでしょ?」


「それもあるけどぉ~。ちはるにも幸せになってほしいんじゃん!」


「はいはい。ありがとう」


「じゃあOK?」


「OK。OK」


「わーい!さゆとあっさにも言ってくる」


つかさは向こうで体を洗っている2人のところへ走って行った。


おいおい、風呂場で走っちゃダメだろ。
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