君と私。

帰り道。



もう秋も終わりを迎えはじめていた。



風は寒いぐらい涼しく、シャツとカーディガンでも寒く感じていた。



透き通る風は私の顔にあたって、長い髪も風によって揺れていた。



風にあたる顔を隠すため、蒼ちゃんの大きな背中に顔を埋めた。



その時、はじめて思いついた。



”蒼ちゃんの背中は、いつからこんなに強くなったのだろう。”



中学の頃、私が蒼ちゃんの自転車にのるのは珍しくなかった。



私も蒼ちゃんも部活に入っていたから、一緒に帰る事もあったし、ついでだからと言って自転車にのせてくれる事も多かった。



けど高校生になってから、私は部活には入らなくて、剣道部に入部している蒼ちゃんと放課後に会う時間は滅多になかった。



中学生の時からかっこ良くて強かった蒼ちゃん。


けど、いつからこんなにも大人の男の人みたいな背中になったのだろうか。


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