穏やかな時間


 翻弄したつもりが翻弄されて、それが無意識のうちの態度だと知っているからこそ、いじらしくて堪らない。

 愛してる、なんて…俺が最も言わなさそうな言葉を、彼女になら何の恥ずかしげも無く伝えられる。

 穏やかな時間が過ぎていく、冬のカフェテラス。
 真っ赤な彼女の手を取って、俺は鼻歌でも歌い出しそうな軽い足取りで、彼女の家へと向かったのだった。



end.



< 15 / 15 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

蜃気楼に恋をした
prock74/著

総文字数/2,669

恋愛(純愛)20ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
冷たい空気と薬品の 匂いが漂う病室。 君が傍に居るだけで、 冷たくて暗い空間が… 「君もここで、 一緒に本でも読む?」 温かい、柔らかい 空間に変わるんだ。 。
12センチの君
prock74/著

総文字数/1,880

恋愛(純愛)9ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
 彼女は暖かな、陽だまりのような人だった。  一緒に居るだけで自分の冷え切った心も体も温めて人間らしい感情を呼び覚ましてくれる、春の太陽のような人。  そんな彼女と一緒に居られることが、大げさかもしれないが私の全てであり生き甲斐だった。  …私は彼女を、本当に愛していたんだ。 。 ※「消えない、消せない」の続編となっております。
消えない、消せない
prock74/著

総文字数/2,578

恋愛(純愛)10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
最近、彼女がふるまってくれる大好きな手料理の味が昔と比べると濃くなった。 久しぶりに自宅に招かれてお邪魔すると、綺麗好きでチリ一つ無かったテレビの上にほんのりと埃が積もっていた。 気紛れな君に付き合い、仕方ないと言いつつ毎週のように手伝っていた模様替え。家具の移動がもはや習慣と化していたはずだったのに、気付けば久しぶりに訪れる部屋の風景に全く違和感を感じなくなっていた。 長かった髪を急にばっさりと切った、外へ出掛ける事も減った、彼女に会う事も…気付けば明らかに減っていた。 。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop