Special Edition


眉毛を触ろうとした私の手をガシっと掴んだ彼。

パッと瞼を開けた彼と視線が絡まった。

ちょっと、怖いよ一颯くん。


真っ直ぐ見据えた瞳は、いつもの優しい眼差しじゃない。

思わず腕を引込めようとするけれど、彼に掴まれていて身動きが取れない。


「男の部屋に入る意味が分からない訳じゃないよね?」

「…………ん」


彼が言いたい事は解る。

私だって、それなりに経験してるし。


「じゃあ、何で入って来たの?」

「………眠れないの」

「え?」

「だから、いつもと雰囲気が違うから、寝ようとしたけど眠れないの」


変に勘違いされても困るから、私は素直に説明すると。

ガバッと起き上がった彼。

溜息まじりに髪を掻き乱す。

そして、私の顔を覗き込むような視線を向けて来た。


「俺も一応『男』だからさ、少しは警戒してよ」

「…………してるよ」

「してない」

「してるよ」

「どこが?」


彼は呆れ顔でじっと見つめて来る。


「私なりに、ちゃんと警戒はしてるよ。してるけど……」

「………けど?けど、何?」

「ッ!」


彼のちょっと苛ついた声にビクッと反応してしまった。


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