Special Edition


髪を撫でる指がピタリと止まった。


「今さら後悔しても遅いんだけど、女遊びをしてた過去は消せないから………」

「………………はい」

「それに関しては、謝るしか出来ない」

「………はい」

「『他の女で培った技術を私に使わないでっ!』って言ったよな?」

「…………はい、すみません、生意気でしたね」

「いや、蘭の言う通りなんだけどさ。でも、マジで過去は消せないから……ホント、ごめん」



蘭は、他の女と比べられる事も、俺が余裕をかましてる事も嫌だと言った。

だから、真摯にその言葉を受け止め、俺なりに解釈してみたけど。

でも、やっぱり………過去は消せない。


散々女遊びをして来たツケが、こういう形で自分に返って来るとは思いもしなくて。

本当に、どうしていいのか困り果てている。


ゆっくりと上半身を起こすと、


「周さんに………触れられるのは……嫌じゃないですっ」

「…………ホントに?」

「………はい」

「じゃあ、俺がキスしたいって言ったらどうする?」

「えっ?」


俺の言葉に目を見開いた蘭。

上体を起こした事で距離が縮まり、お互いの吐息が分かるほどに……。


< 373 / 477 >

この作品をシェア

pagetop