Special Edition

ソウォンの左腕に結ばれている組み紐(メドュプ)
自身の腕にも色違いのものが結ばれている。

それを指先でなぞり、懐かしむ。

「世子様も同じものを?」
「ん」

普段あまりじろじろと見たり出来ないソウォンは、ヘスの腕につけられた組み紐を触る。

「綺麗なお色ですね」
「そなたのは相思子(唐小豆)を模して作らせた」
「相思子?」
「唐の詩人王維の詩に、遠方の友や恋人を想ったものがあるのだが、小豆色を身に着けると魔除けにもなり、大事な人を想う気持ちも込めることが出来ると……」
「そうなのですね、……私は果報者ですね」

ソウォンは嬉しそうに微笑むと、ヘスはソウォンの手に自身の手を重ねて。

「その昔、琰王という豪傑な戦神がいて、その琰王が生き別れた許嫁と交わした『同心結び』もこの組み紐と同じ作りで、幾年もの月日が経てど、決して切れることはなく、相愛の契りは再会を助けたと言われている」
「素敵なお話ですね」
「ん」

自然と見つめ合う二人。
相愛の情は、いつの時代も同じ。

ヘスが少し離れた所に置かれている火鉢を近づけると、ソウォンはヘスの着崩れている襟を直す。
普段は女官や内官がするそれを自分の手ですることが出来る倖せを噛み締める。

両班の家に嫁いだのであれば、夫の支度を手伝うのは当たり前だが、王族となれば女官や内官が常に傍にいる。
例え夫であっても、簡単には近づけない。
それが、世子となれば尚のこと。

こんな風に、四六時中一緒にいられるのは奇跡に近い。

「暫くここに滞在するゆえ、覚悟は出来てるか?」
「へ?覚悟、……とは?」

ソウォンが小首を傾げて尋ねると、ヘスは妖美な笑みを浮かべながら、ソウォンに迫るように夜具に片手をついた。

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