天使の舞―後編―

  華麗なる舞いを

リ~ンゴ~ン・・・
リ~ンゴ~ン・・・


ゆっくりと噛みしめるように、重厚な鐘の音が天界中に響き渡る。


天王宮の正面には、天界中から天使達が集まって来ていた。


白い翼を羽ばたかせ、空中で待機している者もいる。


皆一様に手にはかごを持ち、その中には色とりどりの花びらが、こぼれそうなほどに入っていた。


今日は天界中が待ちわびた、王子の結婚式である。


王子と妃を祝福する住人達の笑顔が、2人揃ってのお出ましを、今か今かと待っているのだ。


そしてもう一つ、天界に注がれる王妃の羽ばたきも、心待ちにしていた。


「キャスパトレイユ様!」


「乃莉子様!」


口々に2人を呼ぶ天使達の声は、重なり合い響き合い混ざり合って、荘厳な歌声にさえ聞こえた。


しかし、バルコニーの内窓の奥では、カチンコチンに固まっている乃莉子の姿があった。

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