天使の舞―後編―
宴の間中、引っ張りだこのキャスパトレイユは、不覚にも乃莉子とはぐれてしまった。


愛想よく引き止められそうになるのを断って、キャスパトレイユはやっと見つけた乃莉子の元へと近寄って行く。


乃莉子はワイングラスを片手に、楽しそうにライラ達と話をしていて、キャスパトレイユは少しほっとした。


アマネやヨゾラみたいな良からぬ男が、乃莉子に声をかけていないかと、気が気ではなかったのだ。


「おい乃莉子。
勝手に居なくなるなよ。
心配するだろ。」


「まぁ、キャスパトレイユ様の束縛にも、困ったものですわね。」


ライラがクスッと笑って、キャスパトレイユを茶化した。


「うるせぇ!
乃莉子、あっち行くぞ!」


「え~・・・なんで?
せっかく楽しくお喋りしてたのに。」


「いいから来い。」


キャスパトレイユの俺様ぶりを楽しむように、ライラは引きづられて行く乃莉子に手を振った。
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