天使の舞―後編―

「もう･･･！
遊びに来てるの？
仕事に来てるの？
まだ週刊誌の陳列、途中でしょ！」


乃莉子が呆れた口調で、キャスパトレイユに説教する姿も、既に、様になっている。


「怒るなよ。やるよ。
仕事に来てるんだから、当然だろ。」


そう言った、舌の根も乾かない内に、『キャスくん』と、女子高生のお客さんに声をかけられて、キャスパトレイユは笑顔を向けていた。


ふぅっ･･･と、ため息をつき乃莉子はキャスパトレイユに、伝える。


「キャス、店番お願いね。
私、配達に行って来るから。」


その言葉に、キャスパトレイユは過剰な反応をみせ、隣でうっとりとイケメン店員を見上げていた、女子高生を突き放した。


「どこへ？」


キャスパトレイユの目付きが鋭くなる。


「喫茶ヤザ･･･」


「ダメダメダメ！」


乃莉子の声に被り気味に、キャスパトレイユは、その配達先を遮った。


「そこはダメ。
俺が行くから、乃莉子は店番してろ。
今日こそ、決着つけてやる。」


「もう、何言ってるのよ。
仕事なんだからね。
私情、厳禁！」


乃莉子は、頬を膨らませた。