もしも愛が買えるなら
それらが肩透かしを喰ってシューンと萎んでいく。


「カラオケボックスに行かない?個室だから落ち着いて話せる。食物もあるしさ」


リョウの提案に頷くあたし。


「じゃあ決まり! 行こう!」


リョウは意気揚揚とあたしをカラオケボックスに案内した。

個室に入り、あたしたちは飲み物を注文する。

リョウのウーロン杯と、あたしのカシスソーダ。

それからミックスピザも。


「ねっ、ミユキが言ってた『良いアイデア』って何?」


さっそくリョウは聞いてきた。


「うん……。リョウ君は本当にあたしを好き?」


思わず確認したくなってしまった。

本題を話す前に、もう少し甘い雰囲気を味わいたくて……。


「好きだよ。当たり前じゃん」

「ほんと? あたしはリョウ君の彼女だよね?」

「そうだよ」


ハッキリと言い切るリョウ。


「そう言ってくれると嬉しい。でも、あたし不安で……」

「不安?」

「うん。リョウ君に愛されてる自信が持てなくて……」

「それは、俺の方だよ!」


リョウは強い口調で言った。


「ミユキは今だって、よそよそしいし」

「そんな……」


思わぬリョウの主張に、あたしは驚いていた。


「俺の名前だって呼び捨てして欲しいよ。ミユキの態度には壁を感じて淋しい……」


リョウの予想外の言葉――。

あたしは思わず謝っていた。

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