黄昏の出会い
「あいつ、
放課後はあの先の噴水にいる事があんのよ。


そこに勝手に入ったら冷たーい言葉浴びられるわよ。」



…確かに、朝かなりイヤそうだったな。


「あいつ氷室流華道の息子だからさ。


この中庭だって氷室流の息があるから、ファンクラブの子達も入ってこられないのよ。」


「-氷室流!!?
あの有名な!?」


夏野の言葉に、思わず驚いてしまった。



だって、氷室流と言えば…!!



華道家の世界じゃトップの由緒ある家元。



代々華道で名を轟かせたあの超名門の…!?



「見た目は良くっても中身がアレじゃあね…。


何であんな無愛想なのがモテんのかしら。」



エリカはファンクラブの女子とは違って、彼は対象外らしい。


「さ、
次行くわよ。」

「ん…、
あぁ…。」


この先の中庭に少し気をとられるも、エリカの後を追った。



* * *


一通り案内が終わった所でエリカが『一緒に帰ろう』と言ってくれたが、やんわりと断る。



「…そう?
遅くなるんだったら気をつけてね?
最近この学校変だし…。」



「変?」



気になって詳しく聞いてみたら、報告通り異変があったらしい。



思ったより、手こずりそうだな……。



「…それに、3年の九条って人がいるんだけど、


……この間傷だらけで倒れてる所を発見されたのよ。


…一体……、
誰があんな事を………。」



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