僕のすべてを、丸ごとぜんぶ。

｢ありがとう、宮藤さん。｣

宮藤さんからノートを受け取って、僕は彼女に笑みを向ける。
そんな僕を見た宮藤さんは、一瞬だけ僕を睨んでふい、と前を向いてしまった。

…なんで、この僕が。
こんなに感情を乱されなきゃいけないんだ。



…駄目だ、いらいらする。


｢そーう、何眉間に皺寄せてんの？こわーい！｣

クラスメイトの女の子が、僕の眉間を指でつつく。


｢…ちょっと、ね。僕だって色々あるよ。｣

微笑みながらそう言うと、その子は僕の腕に触れてくる。

｢ストレス解消…する？｣

｢…悪くないかもね。｣


女の子は、こういう子がモテるんだ。
適度に明るくて、いつも笑顔で。
男に取り入るのも上手い。

僕は、こういう女の子が好きなのだ。



…だから、こんな面倒くさそうな女の子、地球がひっくり返ってもゴメンだね。
冷たい後ろ姿を見つめながら、僕は宮藤さんの悪態をついた。