グランドで死ぬと決めたコーチ
母は生真面目に4人の子供を育て上げた人。

パートじゃお金が足りないなら、資格を取って正社員になったりするパワフル母さん。

少年時代は、野球がどれだけ朝早くても朝からご飯を炊く程の人。

感謝しきれない。

だからこそ、言いたくなかった。

「ただいま。」

入院帰りで、テンション低め。

額にはテープを張ったまま剥がれ落ちるまで、剥がせない。

「おかえり。

おでこ?何それ?」

何も知らないので笑っている。

だから、あえて少しテンションを下げて…

「その事で話があるんだ。」

「へっ?」

頭の中でクエスチョンマークが飛ぶのが見えるようなリアクション。

ひとまずダイニングに腰を降ろし話を始めた。
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