これからは…
「四か月、くらいかな」

さらっと告げる彼の瞳は、透き通った漆黒

「4、か月…?」

おうむ返しする彼女の瞳は…困惑の混ざったブラウン

「それって出張?」

「出張という名の研修」

「…そう」

軽く言ってくれるじゃないか

4か月

彼の欠けた黒崎病院高度救命救急センターで仕事しろと

決して、決して寂しくなんてないけれど、黒崎病院ERの要と言われる海斗が抜けることが

どれだけ小さな小さな負担になると思って

そんなこと言ってなんてやらないから本人が分かってないのは当たり前

でも、でももう少しだけ

寂しそうにしてくれたら、電話するから、の一言をかけてくれたら

少しはこの海斗との間に感じる差を埋められるかもしれないと

素直に寂しいと言えないしるふは、黙ったまま海斗の横顔を睨み付けるのだ

そしてたった一つだけ

「浮気、したら許さないから」

愛情と意地っ張りと寂しさの裏返しだと海斗が認識する言葉を口にするのだった
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