これからは…
「不安になるんだったら、黒崎先生に言いなさいよ。黙ってたらそれこそ黒崎先生に失礼」

信じるって言うのは、そういうことも含むでしょ

綺麗なフォームでバットを振る莉彩の背に

「…うん」

そうだね

と小さくつぶやく

「莉彩」

「なあに」

ひゅん、とバットが空を切る音がする

なんていい振りっぷりだろうか

「ありがとう」

しるふの言葉に振り返った莉彩が

「当たり前でしょ?私には、黒崎病院医院長夫人友人っていう立場が待ってるんだから」

こんなところで別れられたらやってらんないわよ

「それ、特に特典ないよ」

「ちょっと、冗談なんだからせめて給料倍とか言えないわけ?」

不服そうに眉を寄せてくる莉彩に

「海斗に言っておくよ。莉彩は時間外にも立派に違う業務を果たしてますって」

笑いながら心の中でもう一度ありがとう、とつぶやいた
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