これからは…
「さすが、わかってるね」

まね、と肩をすくめる莉彩と満足げなしるふに

「それってだから!!知らない間に黒崎先生にいらん虫がついてるってことじゃないですかー!!」

と園田が叫ぶ

「大丈夫、大丈夫」

園田の反応が初々しくて笑えてくる

「何がですか」

「海斗はね、鈍いんじゃないんだ。あえてアンテナを引込めてるの。その方が楽だから」

とことん罪な男よね

「それってつまり、えー、ある人が自分に好意を抱いているのはなんとなくわかるけれど、わかってしまうと面倒だからあえて触れずにスルーしているって言うことですか」

「大正解」

にっこりとほほ笑むしるふにその付き合いの長さを感じた

「何者ですか、黒崎先生って」

「黒崎病院跡取り息子にして、女と報道陣と権力と私利私欲がドが付くほど嫌いな凄腕医師」

あ、ちなみに苦手なものは甘いものとお酒

「立花先生もどうして不安になったりしないんですか」

しるふの楽しそうな笑みにため息をつきつつ園田がコーヒーを飲む

「まあ、いろいろありましたから」

これでも付き合って3年だし

乗り越えた山は数えきれないほどだ


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