これからは…
いつもは二人で帰る帰り道

ゆっくり歩きながら空を見上げて

繋がれた手が時々優しく進む方に引っ張ってくれる

それがこうして海斗がいないときは、ただの夜道

空を見上げることもなく

寄り道することもなく

心なしか足早に家を目指す

病院を出たところで彼が待っていてくれるのが、少しだけ恋しいと感じてしまうのは、

日々、冬に向かって寒さが増しているからだろうか

ふ、と息をついてロッカーに白衣をかける

不安にならないなんてただの強がりだ

そんなことで揺らぐなと下を向くなと自分に言い聞かせるため

たとえ何年過ごしても、どんなに信じていても

不安になるのは、仕方のないこと

さざ波のように襲ってくるそれとどう向き合っていくかが大切で

でも、とっても難しい

時々無性に、なりふり構わずに駆け出したくなる時がある

今すぐ声を聞きたくなる時がある

そっと首にかけていたチェーンを外す

掌に落ちるのは、内側にイニシャルと日付の彫られたシルバーリング


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