お願い…先生。
―放課後。

数学室に向かう茉莉。

コンコン

『どーぞー』

『失礼します…。』

『それじゃあこれで失礼しますね、中川先生。』

!!!!

…山本先生の声がした。

(…え?先生、もしかして…。)

この間まで二人を
見ても何も思わなかったのに、
夢を見てから
すごく意識してしまう…。

…クス

山本先生が横で
不気味に笑って去っていった。

(な、なにしてたんだろう…)

立ち尽くす茉莉に
中川先生は声をかけた。

『何もしてないよ?』

少し笑った口は
茉莉の気持ちに
わかっている様にもみえる。

『え…。』

見透かされた感じで
茉莉は顔が真っ赤になる。

『あー。ごめんごめん。数学しよーか。』

先生はそういって
私に背を向ける。

あ、困らせちゃったかも…。

でも
気になってしかたない。

『先生』

茉莉は
何も考えず
先生をよんだ。
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