手を伸ばせば君が。
―――コンコンッ
ドアを軽くノックする音。
そして、静かにドアが開く。
「あ、由!いらっしゃい。」
部屋の中には一人の少女、葉菜と一匹の猫がいた。
「ど、どもっ……。」
由は口を少し開け、ポカーンとしていた。
そんな由に笑いかけながら、
「座っていいよ?」
と、葉菜が椅子を指差しながら言った。
由は素直に椅子に座った。
そして、葉菜の膝の上でゴロゴロと気持ちよさそうに眠る猫を見た。
その様子に気が付いたのか、葉菜は目線を猫に移す。