もっと美味しい時間  

マズい……。これは、かなりマズい。
百花が京介に靡くとは思わないけれど、恋愛経験が少ないあいつに京介は危険すぎる。

「いいか京介。百花はただの彼女じゃない。婚約者、俺の嫁さんになる女なんだ。ちょっかい出すなよっ!  いいなっ、これは支社長命令だっ!!」

「なんだよそれ。はいはい、一応聞いておくけど、約束はできないからな」

そう言って俺の肩を叩くと、愉快そうに笑い声を上げた。

はぁ……。気苦労がまたひとつ増えてしまった。しかしそれも、百花のための気苦労だと思えば何てことないんだが……。
この件に関しては、今日家に帰ってからもう一度考えることとしよう。
運転席の京介の顔をもう一度見て、軽くため息を漏らすと、ネクタイを締め直しながら徐々に仕事モードの自分に変えていった。

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