噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

「雪稀様、紅茶でもお淹れしましょうか?」

「ううん、いい。食べ過ぎちゃって・・・少し、部屋で休むね。」

「左様でございますか。では、夕食の時間になりましたらお呼びいたしますね。」

「うん、お願い。」


薄く笑った雪稀は、そのままリビングを後にした。


いったい何があったんだ?

今日は、ベンツやリムジンを使う事なく

千尋と待ち合わせをしていたらしく

柊や如月に、帰りの様子を聞いても分からないし。


でも、雪稀の様子が気になって

俺は後を追いかけるように、リビングを出た。


「雪稀っ。」


部屋に入ろうとした雪稀の手を取り

動きを止めた。


「どうしたの?」

「どうしたのは、俺が聞きたいよ。何があった?」

「え?・・・」


雪稀は目を大きく見開き、俺を見つめている。


「何も、無いよ。」


しばらくして、ようやく聞こえた言葉は

それだった。

< 116 / 264 >

この作品をシェア

pagetop