噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】
7.三兄弟の憂鬱

  ≪陸玖side≫



やっと思い出してくれた。

しかも、目に涙を浮かべながら自分から抱きついてくるなんて。

意外と大胆な雪稀。

理性が保てるといいけど。

そう思いながらも、彼女の身体をギュッと強く抱きしめた。


あ、雪稀の優しい花の様な香りがする。

この香り、凄く好きだ。なんだか安心する。


「雪稀・・・やっと、思い出してくれた。」

「うん。ゴメンね・・・でも、本当に・・・あの、私と・・・」


言葉を濁す彼女。

でも、何を言おうとしているのか分かる。

自分と本当に結婚するのか?ということだろう。


「雪稀。俺はそのつもりがなければ、君を婚約者になんてしない。」


抱きしめていた腕を緩め、真っ直ぐに雪稀の顔を見ながら

言葉を続けた。


「本当なら、君が20歳になった時そうしようかって話してたんだ。でも親父が、雪稀が卒業してからでも遅くないだろうって。真純さんとも話し合ってね。」

「え?お母さんも知ってるの?」



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