スクランブル・ジャックin渋谷
博恵「警察は何をしているの? 交差点を占領されて、黙って見ているつもり?」

宏「電磁波の根っ子が、警視庁や都庁や国会にまで伸びて、官僚や政治家たちの頭脳を支配しているから、無理なんだよ」

 宏から発する言葉を、素直に信じられず、あきれ返る博恵。
 携帯電話に、文字を打って遊んでいる、宏。

 窓から、フォークダンスを踊っている異国人たちを見ている博恵。
 博恵の身体が、自然と軽くリズムを取っている。

博恵「宏ー。あたしも踊りたーい」
宏「勝手に行けば…」

 愛想悪く答えた。宏の携帯電話に、着信メールが届いた。画面を見る。

文字「母、心配している。早く帰ってこい。兄より」

宏「かーちゃーん」

 つぶやいた。涙ぐんだ。宏の身体には、弟彗星が憑依している。母親を懐かしく、思い出しているようだ。

博恵は、宏の前に毅然と立ち構えた。
博恵「宏。一緒に行こうよっ」

宏「いやーだ。俺は、踊りは嫌いなの」
 ミュージックLが、終了した。
< 68 / 108 >

この作品をシェア

pagetop