笑う女神

「お前、まさかあいつに一目惚れしたのか?」

俺が一人でぼーっとその場につったっていたら、すぐに佐々木が駆け寄ってきてそう質問した。

俺がしばらく反応しないでいると佐々木は「マジかよ…」と一言呟いた。

「俺…あいつに惚れた一一一」

佐々木はその俺の言葉に決定的に「叶わねぇ恋だな」と決めつけたけど俺はそんなの聞こえないフリしてさっき棗が通った道を歩いた。

ああ、棗は一体どんなヤツなんだろう?

俺の胸の期待は深まるばかりだった。

「野宮…よりにもよって『氷の女神』かよ…」

横で佐々木がそう言ったのを、俺はまたもや無視して歩き続けた。

< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop