虹になる日がきたら

「5」



佐原太一Side



ただ、率直に“僕と貴方は違う”が頭の中をかき乱した。


あれからもがいて高い壁にぶつかりやっとこさ登ればさらなる高い壁があり断念せざるおえなかった。


それほどの男だったんだ“高原一寿”と言う男は……。








その時が来るまで俺は超が付くまで自分が一番だと思っていた。


女も、金も、地位も何もかもTOPだと。


そんな俺が挫折感を味わう事なんか有るわけがないとたかをくくっていた。



あの日まで







「今回の件は無かった事に……申し訳ありません」




「はっ?」



「別の会社と契約を…。長年贔屓にしていた貴社を採用しなかったこと申し訳ないと思ってましたが、この時世我が社も危うい事を踏まえ条件や予算を考えますと…」



バッサリ斬られた。



不景気



この言葉何回聞いただろうか




「まっ、待って下さい!今貴社に斬られたら我が社は「すみません…お引き取り願います」



苦し紛れに言ってはみたがダメだった。






会社に戻り報告すると


「…そうか」


気難しい顔をした親父事、上司であり会社のTOP


「このご時世、我が社も波に乗らないとやっていけないのか…」


良い物を作ればそれなりのコストは覚悟しなきゃいけない。


「最近は商品を海外で作るのが主流だからな…太一、覚悟しなきゃいけないときだな…この会社は無くなる」


父親の泣き言なんか聴きたくない。


「まだやれる!ここで諦めたら全部終わる」


無くさないよこの会社は!


「高原ベンチャーに勝てっこない」


最近、鰻登りな会社名だ。


「聞いた話、プレゼンした社長の息子がプレゼン中倒れたらしい。そんなのはどうでもいいが出来レースだったんだと…」


出来レース!?


「そんなの見過ごしたのか「見過ごさなきゃウチは倒産してる……高原さんがウチを買ってくれるそうだ。どの道潰れて社員を路頭に迷わすなら傘下に入ろう」


人の足元みやがって…。












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