運命みたいに恋してる。
運命の分岐点
雄々しく決意したあの日から、あたしのカフェ通いが始まった。


放課後、脇目も振らずにまっすぐカフェへ直行して、到着した瞬間からあたしのご奉仕タイムが始まる。


まずはお店のテーブルを拭いて、それから床掃除。


カラフルなお花をテーブルに飾って、窓を磨いて……。よし! 今日もピッカピカ! 完璧だ!


でも……。


「今日もお客さん、来ないなぁ」


窓の外を眺めながら、あたしは小さなため息をついた。


こうしてカフェを手伝うようになって、つくづく実感したのが、毎日のお客さんの少なさ。


たまに来てくれる常連のお客さんは、柿崎さんのお友だちばかりなんだ。


いつも同じ顔ぶればかりで、新顔が増える気配が一向にないの。


商売繁盛に、新規の客の開拓は絶対条件なのになぁ。


「七海ちゃん、いつもお手伝いありがとう」


後ろから声をかけられてハッと振り向くと、柿崎さんが笑顔で立っている。


「七海ちゃんのお掃除は、相変わらず完璧だね。なのにバイト代も払えなくて、ほんとにごめんね」


「そ、そんな! これはお礼のつもりなんですから!」


あたしはブンブンと手を横に振った。


『お姉ちゃんがいつもお世話になっているお礼に、お店を手伝わせてください』


っていう、もっともらしい名目であたしはお店通いをしている。


目的が目的だから、当然バイト代なんて眼中にない。それに、ここに来れば毎日柿崎さんに接触できるし。


ただ、いろんな意味での成果はまだ現れていないけれど。
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