運命みたいに恋してる。
「……うん。ごめん。あたしのせいで迷子になりました」


あたしは自分の過ちを認めて、花梨ちゃんに全面降伏した。


花梨ちゃんは鼻からフーッと息を吐き出し、歩道沿いの花壇のふちにドスンと腰をおろす。


あたしもオズオズと花梨ちゃんの隣に座って、春特有の淡い青空を眺めながら、ジーンズの上から足をさすった。


あー、歩き疲れた。足がジンジンのパンパンだぁ。


迷子になってから、たぶん三十分くらいは彷徨っているもんなぁ。


最近あたしが見つけた小さな革細工店に、花梨ちゃんを案内する予定だったのに。


国道から住宅街寄りに道を曲がったとたんに、店までの道筋の記憶が飛んでしまった……。
< 23 / 267 >

この作品をシェア

pagetop