おやすみ、先輩。また明日

やっぱり宇佐美先輩とのこと、誤解されたかな。

それとも彼女とのデートで忙しいのかな。


色々想像しては落ち込んで、泣きたくなる。



あと2日で夏休みが終わっちゃう。


このまま休みが明けて、通学電車の中で会った時、前みたいに気軽に話しかけられるんだろうか。

気まずくてこれっきり、なんてことになったらどうしよう。


そんな風に不安になるなら、メールでも電話でもすればいいのに、その勇気が出ない。

強くなりたいと思っているのに。



そして最後には「会いたい」という純粋な気持ちだけがはっきりと残るんだ。



「桜沢さん!」


「わ! はいっ!?」



突然響いた大きな声に、ぼんやりとしていたわたしは驚いて声をひっくり返した。

部員全員と、それから教壇の神林先生の視線がわたしひとりに集中していた。


しまった、途中から全然話し聞いてない。

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