おやすみ、先輩。また明日

わたしはそんな彼女に右手を差し出す。



「……なに?」


「わたし、山中さんを応援するよ」


「応援?」


「だから山中さんも、わたしのこと応援して?」



山中さんはしばらくわたしの手を見つめたあと、しっかりと握り返してくれた。

と思ったら、勢いよく立ち上がり、わたしのことも引っぱり上げる。



「わあっ」


「応援って、具体的に何をするの?」


「え? あ、ああ。ええと……励ますとか?」


「何それ」


「愚痴を聞く、とか。情報交換するとか!」


「……わたし、あのヤンキーみたいな人の情報とか探りたくない」



そりゃそうか。

でも具体的に何をするか決めなくてもいい気がする。


応援する気持ちがあれば、それだけで。

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