強迫性狂愛
「あれ…?お母さんだ」


何か、話しそびれたことでもあったのかな。

電話をかけるのは私からで、お母さんは黒澤家に遠慮しているのか、ほとんどかけてよこしたことがなかった。


「なに?お母さん」

「――…百花?」


電話の向こうのお母さんの声はさっきよりも、なぜか静かで落ち着いているように思えた。


「うん、何か買ってきて欲しいものあった?」


迅と車に乗り込みながら話を続けていると


「……百花、お父さんもお母さんもあなたが嫌いで黒澤家に預けたわけではないの」


突然始まる話に、訳もわからずただ驚いていると


「もちろん、お金が欲しかったからでもない…ただ、あなたを守りたかった」


訳のわからない話に、ドクン、と心臓が波打った気がした。
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