強迫性狂愛
「お父さんとお母さんの遺体は?」

「………」


余りにも予想外の言葉に驚きを隠せなかった。


「亡くなったんでしょう?…あんな火事じゃしょうがないよね」

「………」


俺の方に視線を向けて


「ちゃんとお葬式くらいしてあげたいの。いいでしょう?」


なんでそんなに冷静なのかわからないほど

百花は落ち着いていた。


「……それは、」

「それも、無理なの…?」

「………違う」

「じゃあ…」


握られたままの手をグッと握りしめた。


「―――…ないんだ」

「え……?」

「たった一つも、遺体がないんだ。お前の両親の」

「……じゃあ、死んでないの…?」


わずかな希望を馳せるかのように、百花の瞳にきらり、と光るものが見えた。

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