強迫性狂愛

――高校２年生に進学して、間もない春。



出逢いは、突然訪れた。





「ねぇ、百花」


「ん―…、なに？お母さん」



読んでいた本を膝に置いて、ソファーから見えるお母さんへと視線を向けた。



「かぼちゃとトマト、買ってきてくれる？」

「えー」

「お願い。もう、お鍋に火つけちゃったの」

「仕方ないなぁ」


もう、いい年齢なのに、お願いって可愛い仕草をするお母さんに、苦笑しながらソファーから立ち上がる。




お財布をもらって、玄関で靴を履いていると


「百花！」

「なに？まだなにかあった？」

「やっぱり、お母さん行く」

「えぇ？」

「だって…」


昔から、心配性なお母さんは私が一人で出歩くことを酷く嫌っていた。

それも、高校生になってからは、大分なくなっていたのだけれど…。

ふとした瞬間に、お母さんはものすごく心配するから、私は安心させるように笑った。